機械設置の信頼性

本日ご紹介する記事を書いたのは、Roman Megela Gazdova氏。イージーレーザー社でエンジニアとして働いています。ガラス製造、ステンレス鋼製造、石油およびガス、酸素、石油化学、天然など、あらゆる種類の産業で、ヨーロッパからアジア、アメリカに至るまで、世界中のガス圧縮システムの組み立て、試運転、サービスなど、20年のフィールド経験があります。

記事はこのような問いかけから始まります。

「信頼性の高い機械の設置」--当たり前のことに聞こえますし、当然、皆さん同意されることと思います。では、その信頼性とは実際にはどのようなものでしょうか?

回転機械の組み立て時の重要な課題とは?

「モノ」は設計から始まることは誰でも知っています。何を--すなわちどの機器を、どこに導入するかは、設計段階で決定します。しかしながら、「誰が」「どのように」機器を設置するのかは、事前に決定していないケースがほとんどです。同じ組織に属していない場合は特に、部署間で協力や意思疎通ができていないこともあります。設置を担当するチームは、信頼性の高い機械の設置に関するフィードバックを提供するためにも、設計に関与する必要があります。彼らは機器設置の際、物事がどのように機能するか、そして自分たちに何が要求されるかについて理解しています。

私は毎日、ソーシャルメディアを通じて、信頼性のあるメンテナンス、状態監視、センサ、カメラなど、あらゆる問題解決テクノロジーに関する多くの情報を目にしています。これらのテクノロジーはすべて、資産の状態を評価するために知っておくべきことといった必要な情報を提供します。しかし、最も重要であるステップ(段階)についてはどうでしょうか?誰が機械の設置をしますか?

私は長年、ガス・石油化学産業用のスキッドとガス圧縮システムの組み立てや構築を担当していました。私の経験から、回転機械の組み立てに関しては、「平面度と水平レベル」が最も重要な課題の1つであるといえます。

平面度と水平レベルを前提とした設計

すべての機械は、平らで水平な状態で動作するように設計されています。ポンプ、コンプレッサー(圧縮機)、ブロワ、モーター、ギアボックスの各メーカーは、機器が正しく、つまり平らで水平な場所に設置されることを前提としています。

そして、メーカーが提示する設置の基準、許容範囲が存在します。ANSI規格では、脚の平面度は0.4µ/mm 未満、400kWまでの機械の場合、機械とそのドライブ間の共平面性は、50µm/mm 未満であることを推奨しています。石油、石油化学、天然ガス産業用の遠心ポンプのISO規格(ISO 13709:2009)には、「(設置)対象面の平面度は150µm/m以内」と記載されています。換算すると1m当たり0.15mm、ベース面は0.8µm/mm[10mils/ft]の許容公差内に収める必要があります。

平面度と水平レベルはすべてに影響を及ぼします

基礎の平面度をチェックすることは不可欠です。取り付けパッド、基礎板、フレーム、テーブルなど、基礎の上に置くすべてのものは影響を受けます。平面度が許容値をオーバーしている場合、すべての回転機械が影響を受けます。例として、ソフトフット、ミスアラインメント、機器フレームの過応力 、配管フランジのミスアラインメントが挙げられます。

しかし、私はベアリング(軸受)の歪みについてご紹介したいと思います。ベアリングは、油膜潤滑を利用して回転するように設計されています。スウェーデンのベアリングメーカーSKF社によると、潤滑が適正な無負荷状態の軸受は、ほぼ永久的な寿命が保証されます。軸受が過負荷をうけると 、潤滑膜が押し出され、金属同士の接触(メタルタッチ)が発生します。そのため、過剰な熱が発生し、ベアリングが損傷します。他のあらゆる損傷は、ベアリング損傷に起因し、そしてベアリング損傷は、平面度に端を発していることが多いといえます。

水平レベルは、機器に大きな影響を与えるもう1つの要因です。垂直に取り付けられたベアリングは水平方向の荷重を受け持ち、重力ポイントを変更すると、潤滑が軌道から外れます。適切な潤滑膜がない場合、金属同士の接触が発生します。機械にはねかけ式潤滑装置があり、水平に設置されていない場合、潤滑油をオイルスリンガーから離します。以上で問題は解決します。

なぜ、平面度と水平レベルが適切に調整されていない基礎に資産である機械を設置しようとするのでしょうか。そして、関連する問題に直面するのはなぜでしょうか?この記事を読んだ後は、少なくとも「平面度と水平レベルが重要であるとは知らなかった…」と嘆くことはなくなるのではないでしょうか。

翻訳・文/石田有紀

※本サイトは鉄原実業株式会社が運営しております。


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