ジオメトリー測定のケーススタディ ~段ボール機械メーカー編~

エンバマシナリー(Emba Machinery)社は、段ボール業界向けのコンバーティング機械を製造しているスウェーデンの機械メーカーです。2015年にイージーレーザー®ロールアライメントシステムを導入しました。エンバマシナリー社の機械は世界中の包装業界で使用されており、信頼性の高い機能、短いセットアップ時間、高品質、生産性が高いことで有名です。

本日は、イージーレーザー社のブログ記事から、エンバマシナリー社の生産技術者であるStefan Stålhandske氏へのインタビューの翻訳内容をお届けします。

エンバマシナリー社のレーザーでイージー!な日々を早速見ていきましょう!

--エンバマシナリー社が製造している機械はどのようなものでしょうか。

簡単に言えば、折りたたんだ段ボール箱のスロットや穴開け、接着、折り目加工を施していない前工程の段ボールシートを、フレキソグラフ印刷付きで供給する機械です。お客様の手元に商品が届く際、段ボールを最初に目にすることが多いため、そのパッケージは最高の品質である必要があります。

品質要求は梱包の強度にも求められ、組立時の強度保持は重要となります。また、輸送時に梱包した製品を保護すると同時に、積み重ね可能であることも求められます。スピーディーな生産が求められるほか、異なる形状を製造する際の切り替えも、迅速にできなければなりません。当社の一部の機械モデルは、毎分最大440枚のシートを生産します。ぜひ想像してみてください!

--製品の品質、機械の稼働率、製造スピードに関して厳しい要求があるかと思います。これらの事項は機械そのものの品質の重要性にどのように影響しますか?

機械は固定部品と、リニアガイドや回転機械といった可動部品の両方の機械要素で構成され、多くの要素が相互に作用しています。当社では製造している機械はもちろんのこと、部品のサプライヤーに対しても厳しい品質要求を課していて、専門の部署が機械加工された部品をチェックします。機器設置手順は、一般的な要件と公差だけではなく、さまざまな経験に基づいています。

以前は、多くの機械要素をオレブロにある自社の工場で製造していたので、製造部品に対し高水準の品質コントロールと、ある機器において製作された部品のトレーサビリティが可能でした。しかし現在は、複数の部品外注企業へ委託する一方で、彼らに従来同様の高い精度での製造を要求する必要があったため、新しい手順及び品質管理ツールの検討が必要となりました。

--レーザー式測定器を導入することにした理由は何でしょうか?

主に、機器保持スタンド上の穴の中心点同士のセンタリング(位置合わせ)や、直角度、平行度が正しくアライメント調整された状態ですべての機械ユニットが設置されていることを品質確認及び保証するために、レーザー式測定器を購入しました。

以前はクロス測定(下図)や、特注したツールを使用し測定を行っていましたが、取扱が容易で、かつ測定結果をレポート化できる方法へ変更する必要性を感じていました。また、イージーレーザー®であれば、将来、機械ライン全体を測定できる可能性があると考えました。機械を構成する要素の多くは大きくて重いため、持ち運び容易な測定システムが不可欠です。

--最終的にイージーレーザー®を選んだ理由は何でしょうか?

当社の開発部門の担当が、展示会でイージーレーザー®製品に関する情報を得たことがきっかけでした。イージーレーザー社が提示した測定方法はわかりやすく、さまざまな機械精度測定への適用性があることが決め手となり、導入決定はスムーズに進みました。

--他の機械での拡張性について言及されましたが、どのような測定を行いますか?

大型で重い機械要素の平面度測定や、リニアガイド用レールの真直度測定などですね。機器据付時に、ボア真直度機能やシャフトアライメント機能を用いて、機械の両端を調整します。このとき、真直度と直角度、さまざまな直線運動の機械要素の平行度も測定します。これらの測定には、ブラケットを追加したイージーレーザー®E720を使用しています。

また、ロール間の平行度測定用に、イージーレーザー®E975も導入しました。工作機械の精度測定や、定盤の水平レベル確認にも活用しています。このようにさまざまな機械へ幅広く適用できることがイージーレーザー®を選んだ理由です。

--機器の使用方法に関する知識はどのように得られていますか?

ソフトウェアはユーザーフレンドリーですが、ユーザーの多くはこのようなシステムを使用して測定した経験がありません。そこで、合計4日間、2回のトレーニングをイージーレーザー社の担当から受けることにしました。

トレーニングは、当社の施設にある、組み立て中の機械を実際に測定しながら行いました。理論と実践的な演習が組み合わさったトレーニングで、当社では2つのセッションに分けて実施しました。最初のセッションでは、基本的なジオメトリー(幾何学的)測定と穴のセンタリングについて学び、もう一つのセッションではE975を使用したロールの平行度測定と、レーザー受光器・発信器の機能確認方法とレベル調整方法に重点が置かれました。

--イージーレーザー®導入前の測定方法についてお聞かせください。イージーレーザー®はどのような付加価値を提供しましたか?

従来、一部の機械要素の測定にはダイヤルゲージなどを用いていましたが、イージーレーザー®での測定に切り替えました。レーザー式ですと、測定がスピーディーに行えますし、結果に疑問がある場合は繰り返し測定を行うことも簡単です。

またそれ以上に、何よりも重要なのが測定結果の信頼性です。例えば、レール上に設置したリニアガイドは、隣に設置したリニアガイドと平行になるよう調整する必要があります。試しに、ダイヤルゲージを使用し、リニアガイドの平行度を測定してみましたが、局所的な偏差までは測定できませんでした(下図のように、リニアガイドを平行に設置することができたとしても、両方の梁が同じ場所で曲がっているケースが存在します)。

イージーレーザー®は、このような機械ベースのねじれや傾きに関しても特定してくれます。以前の測定手順から変更することで、さまざまな位置から、機械の状態に関連する精度測定ができるようになりましたし、従来は行われていなかった精度測定も実施するようになりました。これらの測定結果をベースに、サプライヤーと話し合うことができ、一貫して品質を向上させる私たちの仕事に貢献しています。

--エンバマシナリー社はロールアライメントE975を使用して、ロール同士の平行度を測定されていますが、平行でない場合はどのような事態が発生するのでしょうか?

プリンターに設置されている複数のロールは重要度が高いです。ロールが正しくアライメント(位置合わせ)されていないと、パッケージの指定した場所に印刷されない可能性があり、これは許容できません。機械ラインに対してフィーダー(送り)テーブルがアライメント調整されていない場合も、斜めに印刷されてしまったり、スロットやパンチが斜めに入ってしまったり、段ボールの形状に折りたたんだものが規定の許容範囲外になってしまい、製品として出荷できないケースが発生します。

当社のマシンは、幅広いニーズに応えられる設計と生産スピードでお客様から評価をいただいていますので、その思いに応えるパーフェクトな段ボールの製造を実現しなければなりません。そのためには、ユニットレベルからライン全体まで、機械のアライメント調整を行うことが重要なのです。

--従来はどのようにロールの平行度を確認されていたのでしょうか?また、導入したイージーレーザー®E975の利点は何ですか?

ユニットを組み立てるときは、クロス測定法と、水準器を利用したレベル出しをメインに行っていました。基準点へのアクセスが難しかったり、または存在しない場合もあったりで、クロス測定は大変難しいやり方でした。機械を設置する際は、ユニット間の平行度と水平度測定するために特注のスペーサーを使用していました。場合によっては、2本のロール間位置関係をテープメジャーで測っていました。

イージーレーザー®を使用すれば、機器全体、部品ごとで測定できる可能性がありますし、「ライブモード」で現在の状態を見ながらロールの調整を行えます。

--出荷時に、機器を一度解体し、顧客の工場内で再組立ての作業をする必要がありますが、技術者への要求や負担は大きくなるのではないですか?

はい、その通りです。お客様に引き渡す前に、独自の規定に準拠したテストを実施します。テストは、生産と同様の条件下で実行されます。例えば、印刷、スロット、パンチの位置に関する変動について測定が行われます。印刷、スロット、パンチの位置は、機械の速度に関係なく、公差内での再現性が求められます。

将来的には、イージーレーザー®を使用した新しい測定方法により、機械のセットアップをより適切にコントロールしながら行えるだけではなく、当社マシンでの生産をより速く、より安全に始められるようになるでしょう。

翻訳・編集/石田有紀

※本サイトは鉄原実業株式会社が運営しております。


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