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9.292020
FFTバンド解析もオンライン状態監視システムで!ギアボックスのミスアライメント検知事例
システムを利用したギアボックスのオンライン状態監視での不良検知は軸受やギアの摩耗や傷がメインだと思っていませんか?それ以外にも、シャフトのミスアライメントの検知ができた実例もあるんですよ。
本日は「PROGNOST®-Predictor(プレディクター)」での入力軸のミスアライメント検知のケーススタディをご紹介します。
PROGNOST®-Predictorは、高周波数エンベロープ処理(HFE)をベースに「自動診断」を実施するシステムです。解析手法に関してはコラムにて解説しています。
計測対象設備
計測対象は2013年から稼働しているMAAGのギアボックスで、モーター回転数は819rpmでした。
バンド解析による不良個所の特定
PROGNOST®-Predictorは、軸受やギアの諸元情報と、回転計から取得した実回転周波数から損傷周波数を算出し、バンド解析を行います。この解析により、2017年7月19日に入力軸のミスアライメントの兆候が判明しました。
その4日後の7月23日には、振幅が大幅に増加しました。
振動技術者が入力軸を詳細解析した結果、入力軸の軸方向の動きが許容範囲外であり、15分以内に不均衡な状態が進行するとの判断から、不良がさらに進む前に、機器をシャットダウンしました。予備のギアボックスとモーターが納品されるまでの間、機器は停止したままにすることになりました。
機器開放と原因の特定
機器の外観確認では、ギアボックスハウジングの側面にオイルの残留物が見られました。開放を実施したところ、モーター軸受外輪に摩耗が確認されましたが、転動体はほとんど摩耗していませんでした。
モーター軸受において、はめあいが最大許容限度であったことから、整備会社にて、はめあい調整を行いました。再組み付け後は最大負荷でも問題なく稼働し、部品延命につながりました。
おわりに
システムがこのような不良を検知した場合、以下の対策をすることが推奨されています。
・すべての軸受のはめあいを確認し、測定結果を記録します。
・現在の測定値を前回の組み付けつけ時の測定値と比較して、このような損傷を減らすために最大許容公差を変更する必要があるかどうかを判断します。
・ギアボックスがOEM指定のスペックで組み付けられているか確かめます。
文/いしだ