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6.52024
ダイヤルゲージからレーザー式へ。対象設備の幅広さが魅力のレーザー式でできること
弊社では、レーザー式の計測システム『イージーレーザー®(正式表記:Easy-Laser®)』を取り扱いしております。
ラインナップが複数ありますので、計測対象設備や測定したい項目など用途によって、最適な機種や治具を選定する必要があります。
Webや電話でのお問い合わせが最も多いのは、「シャフトアライメントシステム」です。
イージーレーザー® シャフトアライメント
シャフトアライメントは、日本では一般的に「軸芯出し」と呼ばれています。レーザー式のシステムは、ダイヤルゲージと比べ、分解能が高く(ダイヤルゲージ;0.01mm、レーザー式;0.001mm)、初心者でも簡単に使用できるのが特徴です。欧州発祥のメーカーが多いのですが、10年程前と比較すると、日本でも導入が進んでいます。
レーザー式芯出しシステムの特徴
【レーザー式芯出しシステムの特徴】
○ 難しい操作はなく、1日のトレーニングで芯出し作業を習得できます。
○ 正確な精度の芯出しが可能です(分解能:0.001mm)
○ 最小40度のレーザーユニット回転で測定できます。
○ ライブモード採用により、シム調整結果が即表示されるため、再計測は基本不要です。作業時間短縮を実現します。
○ 計測結果をレポート化。デジタルでの作業報告書提出が可能です。
○ システム拡張性(ロール平行度確認といったジオメトリー測定に対応)
ライブモード採用により、シム調整結果が即表示されるため、再計測は基本不要で、作業時間短縮を実現します。ライブモードとは、軸(シャフト)を半回転程度回すだけで、ディスプレイユニットに現状の偏芯・偏角、そして調整シムの厚みまで瞬時に表示する機能です。
軸芯出しの場合、ダイヤルゲージの共回しの原理と同じで、両軸の回転軸からのオフセットをみています。そこから三角法によりシム調整値をシステムが自動で算出します。
ポンプとモーター間のカップリングの芯出しのような、水平に設置された機械だけでなく、垂直設置型機械の軸芯出しにも適用できます。
また、ディスプレイユニットをPCに接続すれば、計測結果を簡単にレポート化できるので、芯出し測定結果の見える化、報告書作成の手間の削減ができます。
メリット
レーザー式の芯出しシステムの大きなメリットは、「カップリングを分解しないで芯出しができる」という点です。
風力発電のメンテナンスの事例をご紹介します。日本では一般的に、風車のナセルに設置されている機械の芯出しにダイヤルゲージが用いられています。一部の風車で用いられているカップリングスペーサーは鉄製で重く、現場での取り外し作業が困難です。カップリングの偏心・偏角公差がシビアなため、精密かつ定期的な芯出しが必要とされています。
ダイヤルゲージによる芯出し・調整では、カップリングの取り外し作業に時間がかかるだけではなく、風による振動の影響を受けるため、待ち時間が長くなるケースがあります。ある風力発電事業所では、ダイヤルゲージによる芯出しでは1基あたり2日を要していたそうです。
レーザー式のシステムであれば、緩衝物を回避しながら確実に固定ができるマグネット式ブラケットを使用することで、カップリングを分解しないで芯出し作業が可能になります。
先述の事業所では、イージーレーザー®での芯出し作業に切り替えた結果、取り付けから計測、芯出し完了まで約1時間程度と、大幅な時間短縮につながりました。
レーザー式で対応できる用途
軸芯出しの用途のほか、レーザー式では次のような用途でも使用されています。
○ ボアやベアリングジャーナルの通り芯、真円度の計測
○ 機械の基礎の平面度測定、レベル出し
○ タービンなど、径の異なるダイヤフラムなどの真直度の計測
○ 押出機のシリンダ(バレル)の真直度や回転軸方向の計測
○ 風力発電などのタワーフランジの平面度・平行度の計測
○ 複数のロールやフレームなど、平行度や水平度の計測
○ 工作機械など、直角度・真直度・平面度の計測
○ ベルトのアライメント計測
レーザーシステムに興味を持つ企業様の例
さまざまな企業の方からお問い合わせをいただくのですが、今回は「極薄銅箔メーカー」からのお問い合わせをご紹介します。
極薄銅箔メーカー・高機能フィルムメーカー
スマートフォンのマザーボードには「極薄銅箔」が使用されています。極薄銅箔という素材は、従来、パッケージ単位の小さい基板に用いられていましたが、用途が拡大しており、消費量(面積)も増加傾向のようです。
お問い合わせの機会が増えてきたのが、『イージーレーザー® ロールアライメントシステム(ロールの平行度・水平度測定)』です。
問い合わせの時にお話しいただく課題、解決したいことは、「製品のしわ、ゆがみ、ヨレ、蛇行をなくしたい」「巻きずれや巻き取り不良を何とかしたい」というものが多く、高機能フィルムの製造現場においても、同様の課題があったり、高い精度が求められたりしています。今までどのように芯出しをされていたかを伺うと、だいたい下記いずれかのお答えが多いです。
① 自社のスタッフがダイヤルゲージや巻尺を使用して計測している
② 外部の業者(ロールの芯出しサービス)に委託している
①に関しては、「ベテラン技術者が次々と退職していくにも関わらず、若手への技術継承が進まない」「品質管理の観点から、測定・調整結果をレポートにまとめる必要がある」などが多く挙がってくるご意見です。
極薄銅箔や高機能フィルムの製造ラインでの作業には、機密保持契約が必須のケースも多く、②の外部業者にお願いするにも、慎重に業者を選定したり、内部での手続きが必要だったりと、時間と手間がかかるようで、自社の担当者での計測に切り替えるために、新たに検討を開始される企業様もいらっしゃいました。
おわりに
当社では『イージーレーザー®』の測定方法や導入事例を掲載した特設サイトをご用意しております。レーザーアライメントにご興味がある方はぜひそちらのサイトもご覧ください。
文/いしだ
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