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6.62024
ミスアライメントで回転機械が異常振動?!芯出し不良対策2つ
回転機械が通常よりも振動している…その原因の一つとして考えられるのが「ミスアライメント」です。ミスアライメントは、カップリング(軸継手)と密接な関係があります。今日は「ミスアライメントとはどのような現象なのか」、「ミスアライメントを起こさないためにしなければならない対策」について解説します。
カップリングとは?
カップリングは機械のどこに設置され、どういった役割を果たしているのか?まずは定義を調べてみました。
軸継手(じくつぎて)とは軸と軸をつなぐ機械要素の総称で、ジョイント、カップリングとも呼ばれる。
軸を延長することや一方の軸から他方の軸へ動力を伝動することを目的としており、 常に動力を伝える軸継手は永久継手、 断続的に伝える(2軸をつなげたり離したりする)軸継手はクラッチに分類される。引用元:Wikipedia
例として、モーターとポンプを挙げてみましょう。モーターは日本語では電動機、「電気の力を機械のエネルギーに変換する装置」ですね。ここでは、右側にあるモーターが左側にあるポンプを動かしています。この中でカップリングは中心に位置する「ポンプの軸とモーターの軸をつないでいる」部分です。このカップリングで結ばれた2本の回転軸の中心線がまっすぐであれば、負荷がかからず、カップリングの寿命は長くなります。
では、2本の回転軸の中心線に「ずれ」が生じていた場合はどうなるのでしょうか。下図では、モーターの被駆動側(後脚)が駆動側(前脚)に比べて下がってしまい、軸が水平ではありません。このように中心線がずれてしまうと、カップリングのみならず、軸受(ベアリング)に負荷がかかることもあります。
ミスアライメントとは
このような回転軸のずれのことを「ミスアライメント(芯ずれ)」、芯ずれがないように調整することを「芯出し」といいます。
正常時 | ①平行偏芯 |
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②偏角(面開き) | ③平行偏芯と偏角が組み合わさった状態 |
ミスアライメントには、①両軸心に平行誤差が生じている平行偏心、②角度誤差がある状態の偏角、または③その両方が起こっている場合があります。その他にも、軸方向にずれが発生している軸方向変位があります。
選定したカップリングの型式や運転条件により、ミスアライメントの許容範囲が設定されているので、その範囲内に収まるよう芯出しを行う必要があります。
芯出しはどうやって行うのか?
ミスアライメントをなくすためには、芯出しをすることが重要だということがわかりました。では、どうやって芯出しを行えばよいのでしょうか。現在は、①ダイヤルゲージ、②レーザー式芯出しシステムのいずれかで行っているところが多いようです。
ダイヤルゲージによる芯出し
ダイヤルゲージとは、”直接数値を測るのではなく、ほかの物を基準としその物との差を読んだり、平行だしをするのにつかわれることが多い計測器(引用元:Wikipedia)“です。
平行偏心や偏角による誤差はハブにダイヤルゲージを取り付けて、1回転させることで振れを測定します。その後、可動機械側(上図の場合はモーター)の前脚・後脚のボルトを締めるなどの調整を行い、許容値になるまで同様の作業を繰り返します。
ダイヤルゲージによる調整(平行偏心) | ダイヤルゲージによる調整(偏角) |
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ダイヤルゲージを使用した軸芯出しは汎用手法ではありますが、経験豊富な熟練作業者の退職問題や、次の世代への技術の継承ができていないなど、課題を抱える企業も多くあるようです。
そのような課題をお持ちの企業が積極的に導入しているのがレーザー式の軸芯出し測定器です。
レーザー式芯出しシステムによる芯出し
レーザー式によるメリットは、難しい操作はなく正確な精度の芯出しが可能な点です。レーザーを送受信する2つのユニットをそれぞれ固定機械側と調整機械側に取り付け、3か所で測定を行えば、現在のズレ値と調整値がディスプレイユニットに表示される仕組みになっています。
調整を行っている間もリアルタイムで数値が更新されるため、何度も計測を行う必要もありません。
おわりに
動画(約10分)にてダイヤルゲージとレーザー式の芯出し方法の違いとポイントを解説しています。
文/いしだ
※2024年6月6日:加筆修正