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低速回転の診断に対応できるAdash社のポータブル型振動計の取り扱いスタート!

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2023年9月から、チェコにあるAdash社が開発・提供している振動計の取り扱いを開始いたしました!今回は各機種の特徴を簡単にご紹介します。

振動計とは

 
振動の大きさを数値として可視化するための計測機器が振動計です。変位、速度、加速度の3つがあり、どのような不良を検出したいかによって、3つのうちから適切な物理量を選択します。

変位、速度、加速度を車の運転に例えてみましょう。

車がA地点を出発して、B地点まで移動した時、A地点~B地点までの距離、すなわち、位置の変化量を「変位」といいます。

「速度」は単位時間当たりの変位の変化量で、単位は[m/s](メートル毎秒)や [km/h](キロメートル毎時)などで表されます。高速道路では制限速度がありますが、1時間あたりの最大距離を制限しているわけですね。

「加速度」が一番イメージがしにくいですが、単位時間当たりの速度の変化量を表していますので、単位は[m/s2](メートル毎秒毎秒)などです。加速の度合いですので、車のアクセルを踏み込んで出るスピードを思い出してみてください。止まっていた車で走り出す時に踏み込んで出るスピードと、高速道路の入り口で踏み込んで出るスピード、どちらが速いでしょうか。基本的には後者だと思います。言い換えれば、前者よりも後者の時のほうが加速度は大きいということになります。

振動計を使用してわかること

 
振動センサの内部には圧電素子という部品が組み込まれており、この圧電素子に荷重がかかると、電圧が発生します。この性質を利用して発生したアナログ電圧信号を測定器に取り込み、デジタル処理したうえで、外部装置に出力します。

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回転機械の状態診断への活用例を挙げると、速度を調べることでミスアライメント(芯出しの不良)や発生の有無がわかったり、加速度から転がり軸受不良を検出できたりします。これには一般的にFFT解析という手法が用いられます。

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※上の画像データは当社取り扱いの『PROGNOST®-Predictor』で取得したものです。

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Adash社の振動計

 

Adash spol. s r.o.社(チェコ)は、1991年にRadomir Sglunda氏とAdam Bojko氏が創設しました。1995年、自分達が培ってきた振動解析の知見をベースにハンドヘルドタイプの振動計を開発、以来、お客様のご意見を取り入れながら、製品モデルを増やしていきました。

現在は、始めて振動解析を行うユーザー向けのVibrio M、より詳細な振動解析を行うユーザ向けモデルのVA3 Pro、VA5 Proを開発、オンライン型振動解析モジュールと解析ソフトウェアを供給しています。

Vibrio M(バイブロ エム)

 
Vibrio Mは、変位・速度・加速度のオーバーオール値、FFT解析、時間波形、聴音といった、振動による機械の状態診断のために必要な機能が搭載されたエントリーモデルです。リチウムイオン電池で連続16時間使用が可能、センサ込みで580gと軽量なため、日常の点検に適しています。

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VA3 Pro(ブイエースリー プロ)

 
VA3 Proは、FFT、バランス検出、データ保存、ランアップ、超音波といったモジュールの中から必要な機能を選択して構成することができます。モジュールは計測器購入後でも、追加購入することが可能です。時間波形ベースでの評価が実施可能な低速回転軸受用のACMTデータ取得にも対応しています。

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VA5 Pro(ブイエーファイブ プロ)

 
ハイエンドモデルであるVA5 Proは、3軸同時計測が可能な4つの振動信号チャネル、現場での解析がしやすい大画面タッチスクリーンを採用したマルチタスク型の解析装置です。オーバーオール値、FFT(最大ライン数3276800)、時間波形など、さまざまなタイプの振動計測に対応しています。

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おわりに

 
振動計を使用することで、回転機械周りの不良の有無だけではなく、不良箇所の特定ができるケースも多くあります。振動診断はAdash社の振動計のようなポータブルタイプのほかにも、オンラインで常時監視できるシステムなどもあります。対象の機械、重要度によって、適切なアプリケーションが異なりますので、課題やお悩みがある場合はお気軽にご相談ください。

文/いしだ


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