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8.282023
【初心者向け】FFT解析を模擬体験!
「FFT解析について知りたい」という方からの資料請求が増えています。本日はFFTデータ解析例をご紹介します。
FFT解析というけれど、何を解析するの?
発生している周波数は実にさまざま
回転機械から発生しているさまざまな音や振動は、低周波領域から高周波領域に至る周波数が交じり合った状態です。モーターが稼働している音だけではなく、それに伴い回転するシャフト(軸)やカップリング、軸受(ベアリング)の振動かもしれませんし、ポンプであればキャビテーションかもしれません。
(低周波領域)
● カップリングのミスアライメント
● 羽根のアンバランス
● 歯車の噛み合いによる振動
● ポンプのキャブテーション
● 軸受の振動 …etc.
(高周波領域)
時間領域波形と周波数スペクトル
FFT解析を行うためには、これらの周波数を可視化する必要があります。そのために振動センサなどを使用します。センサの内部には圧電素子という部品が組み込まれており、この圧電素子に荷重がかかると、電圧が発生します。この性質を利用して発生したアナログ電圧信号を測定器に取り込み、デジタル処理したうえで、外部装置に出力します。出力された時間領域信号を周波数スペクトルに変換し、解析します。
下図は、センサが取得した電圧信号を個々の周波数に分解し、波形の時間的変化を示したものです(横軸:時間)。これは時間領域波形と呼ばれています。
出力される周波数はさまざまで、電圧の強弱は振幅(波の高さ)であらわされます。振動計であれば、振動が小さい場合は電圧も小さく、振動が大きい場合は電圧も大きくなります。しかし、このような時間領域波形を見るだけでは、どの部位に起因する周波数なのか判別することができません。
そのため、この時間軸波形を基に、横軸に「周波数(波の個数)」を、縦軸に「振動の強弱(波の高さ=振幅)」をとったものが周波数スペクトルと呼ばれるもので、この波形を解析することで、軸受の不良個所を特定することができます。
時間領域波形を周波数スペクトルに変換する、すなわち計算機上で高速に計算するアルゴリズムのことをFFT(高速フーリエ変換)と呼びます。用語は難しいですが、基本的には振動計が取得した信号を自動で周波数スペクトルとして出力してくれます。(機種によってはFFTに対応していないものもあります)
回転機械の「今」を解析
取得したFFTデータを確認することで、アンバランスやミスアライメントが発生していないか、軸受に損傷があるか否か、その部位はどこなのかのヒントを得ることができます。
サンプルデータ
それでは、振動計で取得したFFTデータを見てみましょう。
対象設備情報
これらのFFTを見ればどこで不良が発生しているのかわかるのか、というと実はそうではなく、まだ足りない情報があります。
それが「計測した機械の諸条件」です。
FFTデータからわかること
計測した機械の諸条件とFFTを照らし合わせて、回転周波数および軸受損傷周波数に合致するピークがあるかを調べていきます。
回転周波数は軸回転数(rpm)を60で除して算出します。
回転周波数と想定される62.8Hz近辺とその高調波、および外輪損傷周波数257Hz近辺とその高調波に卓越が認められます。回転周波数の他に、高調波(2次=125.6Hz、3次=188.4Hz)においてもピークが確認されていることから、ミスアライメントや軸緩みが発生している可能性があります。
計測点近傍の軸受にカップリングがある場合は、カップリングが接続している両軸のアライメント調整を実施することで、2次及び3次回転周波数を低減させられる可能性があります。
また、外輪損傷周波数257Hzおよぶ、その高調波にもピークが確認されています。このことから軸受の傷が一定レベルで進んでいる可能性があるので、損傷周波数における振幅値が大きくならないか定期的な監視を実施するとともに、停止可能なタイミングがあれば軸受状態を確認することが推奨されます。
おわりに
模擬体験いただけましたでしょうか?今回ご紹介したFFTデータはズームをした時にかなり高い解像度で確認することができていますが、こういった解像度の良さは計測をした端末=振動計のスペックによります。
弊社では高解像度でFFTを確認いただける振動計の取り扱いがありますので、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
文/いしだ