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短期間モニタリングによる定期的な機器の「健康診断」

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「回転機械の状態監視システムを導入したい」と思っても、さまざまな事情から検討が進まない……このような状況を経験された方はいらっしゃるのではないでしょうか。

本日は検討を進めるために有用なPROGNOST®システムによる短期間の計測サービスについてご紹介します。

回転機械の状態監視システム導入の課題

 
業種や企業様の考え方によっても異なりますが、「導入コストに見合う効果が短期間で期待できない」という点を挙げる方が多いようです。他にも検討にあたり、下記のような状況や思いをお持ちの場合もあります。

・往復動式・遠心式圧縮機とも駆動部の重大トラブル発生頻度は極めて低い。ゆえに監視システムは万一の時の保険に近い。
・系列に予備機がある場合は、仮に重大トラブルが起きても、運転上のリスクは増えるが、運転継続は可能である。
・往復動圧縮機の場合、バルブやリングトラブルが頻発することもあるが運転上許容可能なことも多い。
・遠心式圧縮機の場合は、すべり軸受の摩耗監視が主体となるが、すでにDCS等にデータを取り込んでいるケースが多い。
・予備機がなく、プラント運転上も重要機器の場合は、万一重大トラブルが発生した際のダウンタイムとそれに伴う生産ロスは莫大であることは誰もが分かる。しかし、起こるかどうかわからないトラブルのために、予算投資することは、他の投資(老朽化対策等)の優先順位を考えると躊躇いがある。

「定期計測」と「必要時計測」の実施による機器健全度評価のメリット

 
当社では、本格的な導入検討の前段階として、貸出用システムによる「定期計測」と「必要時計測」の実施による機器健全度評価の実施を推奨しています。

<主なメリット>
・初期投資はセンサ単体購入費と配線作業費のみ(常設のための投資不要)
・重大トラブル発生後、機器再起動が必要な際の監視手法が構築されている。
・マイナートラブル(バルブ・パッキン不良)等が継続する場合は、原因解析のための判断材料を得ることができる。
・定期計測を実施することで、部品の損傷度合いを可視化し、定修時に圧縮機補修をどこまで行うべきか判断できる。
・定期計測や短期計測の結果、社内で連続監視機運が高まった場合には、システム購入費のみでOK。

サービス概要

 
まずは対象機の選定を行います。下記のような機器を中心に、絞り込みを実施します。

<対象機器選定のポイント>
・予備機がない。
・計画外停止が発生すると生産ロスが莫大。
・過去に駆動部の損傷で計画外停止を経験した。
・過去にバルブやリング類で計画外停止を経験した。
・原因不明の部品不良が機器開放時に見られる。
・メンテナンス周期延長要求があるが、部品信頼性の問題で定期整備スキップには不安がある。

続いて解析サービス手法の決定です。弊社保有のセンサ・システムを持込み、数時間、振動信号を取得する「スナップショット」や、システムを1日~1年の任意期間レンタルする「短期監視」があります。取得したデータの解析は自社で実施いただくか、PROGNOSTシステムズ社に委託することができます。

必要なセンサの購入と設置計画の作成を行います。センサの設置個所はどの部品の状態診断を行いたいかによって異なります。配線方針の決定と電源確保についても同時に進めていきます。

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短期計測ご利用事例

 
2列2筒の水素ガス圧縮機を使用しているX社では、シリンダ弁がボトルネックとなっていました。過去にスプリング力調整(ダウン・アップ)やリフトカットなど適用しましたが、シリンダ弁寿命が不安定で、客先内でどの対応手法が有効か不鮮明な状況でした。

そこで、短期計測にて振動解析を実施することになりました。準備は機器運転中に可能で計測作業自体は2時間程度で完了、計測結果を確認したところ、シリンダBで、シリンダAよりも大きな振動レベルが確認されました。また、閉じ遅れ(オーバーシュート)と思われる兆候も認められました。

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おわりに

 
どのような診断結果を得ることができるのかを確認することで、システム導入の有用性を判断いただくケースもあります。最短1日の計測から御見積可能ですので、ご興味ある方はこちらのフォームの備考欄に「PROGNOSTシステム 短期計測の見積希望」と記載の上、お問い合わせください。

文/いしだ


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