複雑なジャックシャフトアライメント調整も、レーザー式でイージーに!

本日ご紹介するケーススタディは、カナダのブリティッシュコロンビア州のクーテネイ川沿いにあるダム施設における、余水吐ゲート制御システム置き換えの大規模なプロジェクトについてです。Benchmark PDM社が投稿したオリジナル記事の和訳となります。

川の力を利用するときは、制御システムを機能させる必要があります。余水路ゲートはダムのレベルを制御し、この例では、約10メートル離れた2つのウォームドライブによって昇降される、大きなゲートです。駆動モーターとギアボックスは中央に取り付けられており、システム全体の交換が計画されていました。他の機械の設置作業と同様に、長さ4,5 mの2つのドライブシャフトを含め、多くの調整作業が必要になります。

CH Mechanical社のChad Hansen氏は、ドライブ全体のシャフト調整作業を依頼されました。ウォームドライブから隣のウォームドライブまでの最長距離は10メートルで、CH Mechanical社では、20メートルを超える測定距離をカバーできるイージーレーザー®XT660シャフトアライメントシステムを使用する予定でした。しかし、作業は現場で始まるのではなく、会社の倉庫で始まります。

ドライブアセンブリの調整

こちらの写真はゲートを開閉するウォームドライブを駆動する2本のジャックシャフト用のドライブアセンブリです。新しく製造された機械ベースは素晴らしい作品です!機械要素を取り付ける土台の高さがそれぞれ異なっている点に着目してください。合計16個の固定ボルト、個別の取り付けフットパッド付きです。これらの取り付け面はそれぞれ、同一平面(フラット)である必要があります。また、高さが同じところは互いに平行でなければなりません。ベースの平面度の重要性について説明は別のブログ記事をご覧ください!

イージーレーザー シャフトアライメント 軸芯出し ジャックシャフト ギアボックス モーター

次に、機械要素を見てみましょう。適切なサイズのモーターには、標準の脚付、チェーンカップリングで連結されたシャフトがあり、2つのピローブロックベアリングで支えられた短いスペーサーシャフトに接続します。フランジに取り付けられたリジッドカップリングと結合され、ギアボックスの入力シャフトに取り付けられたブレーキドラムに接続されます。

続いてギアボックス部です。出力シャフトがモーターシャフトと平行な状態でギアボックスの側面(写真の左側)から出ています。もう一方のシャフトは、その反対側面のブレーキドラム台の下を通っており、写真では見えにくくなっています。モーターとピローブロックベースは取り付け時に取り外されますが、この事前組み立ては、ボルト結合またはベース結合なしですべてが収まることを確認するためのものです。

この機械の設置における最も重要な側面は、ギアボックスの取り付けとブレーキの設定です。そこでChad氏はその2点の設置から始めました。ギアボックスの入力シャフトは、ブレーキの取り付け面と平行でなければなりません。そのため、ギアボックスやブレーキのシム調整を行います。通常、最適な動作を実現するため、十分な時間を費やし、両方のシム調整を行います。最終目標は、ブレーキをかけたときに、ギアボックスシャフトの偏芯がないことです。これは、角度ずれやオフセットがないことを意味します。

次に、スペーサーシャフトとギアボックスシャフトの軸芯出しを行います。これはリジッドカップリングなので、カップリングを分解した状態で行うのが最適です。この軸芯出し作業は、測定ユニットに内蔵されている電子角度計と「9-12-3」測定または「EasyTurn」測定のいずれかを使用して実施します。どちらの方法でも、高精度で再現性のあるアライメント調整を行うことができます。

この後、モーターとスペーサーシャフトのアライメント調整を行います。このような重要なアライメント作業の際には、別の測定方法を使用することができます。ここでは、4つ以上のポイントで測定と記録を行うマルチポイント機能を使用しました。モーターとスペーサーシャフトのアライメント調整完了後、ギアボックスシャフトとモーターのアライメント作業に取り掛かります。ディスプレイユニットとレポートに表示された、新しくなったANSI標準公差を用いました。

ドライブアセンブリの設置とジャックシャフトのアライメント調整

ギアボックス全体とドライブアセンブリを現場で設置します。ただし、ベアリングペデスタル、モーター、モーターベースは、設置作業を簡単にするため一旦取り外しています。

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ダムに最も近い、右側のジャックシャフトを最初に取り付けます。レーザー測定ユニットがブレーキドラムのすぐ下の出力シャフトに取り付けられています(左上写真)。固定側であるウォームドライブ(右上写真)にはSユニットを取り付けます。EasyTurn測定方法を使用すると、現在のズレ値と、必要な調整値(垂直方向/水平方向)が表示されます。

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これでレーザーアライメント作業は完了です。ウォームドライブには多少の調整代はありますが、ほとんどの修正は駆動側を動かすことによって行われます。

翻訳・編集/石田有紀

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