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アキシャルスラストベアリングの不良を「コンフィデンス値のトレンド(傾向)管理」で検知!

Monitoring_Axial Thrust Bearing5

PROGNOST®-プレディクター(Predictor)」による常時状態監視を実施した大型ギアボックスのケーススタディをご紹介します。

大型のギアボックスになると、構造がかなり複雑になりますが、PROGNOST®-プレディクターはギアノイズなどの影響を受けずに早期に不良を検知できる技術を備えたシステムです。

PROGNOST®-プレディクターは、軸受やギアの諸元情報と、回転計から取得した実回転周波数から損傷周波数を算出し、高周波数エンベロープ処理(HFE)をベースに「自動診断」を実施します。解析手法に関してはコラムにて解説しています。

技術コラム:「●●値のトレンド管理」で大型ギアボックスの計画的メンテナンスを実現したケーススタディ

h2midashi 計測対象設備

PROGNOST社では、このように計測対象ごと、グラフィック化を行っており、どの個所で不良が発生したのか視認しやすくなっています。今回のケーススタディでは、振動加速度センサ6で監視していたスラストベアリング8Aで不良が発生しました。

h2midashi バンド解析による不良個所の特定

実際にセンサが取得した信号を処理したデータを見てみます。複数の図で構成されています。まず左側のプロットがコンフィデンス値のトレンドです。右側には3つのグラフがあります。

上:期間中のある特定の時点でのHFEデータ
中:ある期間の振幅値のトレンドデータ(横軸:時間)
下:PROGNOST社独自のパラメータ「コンフィデンス値」のトレンドデータ(期間は振幅値と同様)

バンド解析

2020年5月28日の時点における右上のHFEデータにおいて、損傷周波数を示したオレンジバンドとの合致が確認できます。損傷周波数との合致度が高く、振幅値も上昇しているため、メーカー独自の不良兆候パラメータであるコンフィデンス値も100を超えています。続いて、約3週間後の振幅値を確認してみましょう。

バンド解析

2020年6月19日時点の右中央の振幅値のトレンドデータを見てみましょう。振幅値が急激に上昇していることがわかります。図上のHFEデータは緑で×となっている時点を示しています。

システムユーザーはトルクを調整、機械への負荷を減らし、そこからしばらく様子を見ることを決めました。機械への負荷が減ったことで、振幅値は下がりましたが、引き続きコンフィデンス値が高い状態が続いたため、最終的に機器をストップし、開放を行いました。

h2midashi 開放結果

ワッシャー部分に破損が確認されました。223rpmという比較的低速部であっても不良検知ができました。

機器の開放

h2midashi おわりに

今回のケースでは特定部位でのコンフィデンス値の上昇=スラスト軸受に異常が発生しているという事実を認識した後、負荷を減少させることで損傷が広がるリスクを最低限に絞ることができました。すぐに機械をストップするのではなく、どこまで機器継続運転可能かを判断するため、最初の不良兆候が確認されてから監視を強化。PROGNOST社、ベンダー(機械メーカー)と打ち合わせを行い、2か月の間継続運転することができました。

PROGNOST社では、システムユーザーやベンダーとの”対話”を大切にしています。このように、常時状態監視システムで得た情報をもとに、監視を強化し機械の延命をしつつ、ユーザーにとってタイミングの良い時に機械をストップし、損傷部品のみの交換を実現することができます。

文/石田有紀


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