軸芯出しのケーススタディ ~メンテナンスサービス編 vol.2~

本日は、国内外問わず機器保守サービスを提供しているBilfinger Maintenance社が、なぜ長きにわたり、イージーレーザー®を使用しているのか、また、彼らが採用した最新装置についてご紹介します。

軸芯出しに関して、Bilfinger Maintenance社とイージーレーザー社は約20年にわたる協業関係にあります。現在は、新世代のデバイスを導入しており、特にプラント危険域において、顧客と自社従業員のアライメント作業の大幅な簡素化を実現しています。Bilfinger Maintenance社のビジネスモデルは、プラントの信頼性を高めつつ、メンテナンスコストを削減すること、また、事業内容はコンサルティング、エンジニアリング、生産、設置、保守、プラントの拡張、環境技術やデジタルアプリケーションと多岐にわたります。

時代のニーズをとらえた製品の開発

Bilfinger Maintenance社の保全担当者は、2001年からレーザーアライメントシステム「イージーレーザー®」を使用し、軸芯出し測定と調整を行ってきました。Bilfinger Maintenance社の機械技術およびサービス技術者の責任者であるKarl-Heinz Bank氏は次のように説明しています。

「優れたサービスを提供することは、私たちにとって常に重要です。イージーレーザー社と協業を決めた主な理由は、コスト要因はもちろん、操作性のよいインターフェイスでした。非常にユーザーフレンドリーな設計で、使い勝手がよいのです。イージーレーザー®を使用する決断を後悔したことは一度もありません」

2018年の春には、イージーレーザー社がハノーバーメッセで発表したイージーレーザー®XT550 ExシャフトアライメントシステムがBilfinger Maintenance社に納品されました。同社のポンプおよびエンジン技術責任者であるJurgen Rabe氏によれば、従来のシステムも依然、信頼性に問題はなかったものの、業界がこの新しいシャフトアライメントシステムを待ち望んでいたため導入を決めたとのことです。

なぜなら、新発売のイージーレーザー®XT550 ExシャフトアライメントシステムはATEXおよびIECEx認定で、ゾーン1および2の爆発性雰囲気で使用できるシステムだからです。このシステムであれば、生産を停止する必要がないため、費用的にも時間的にもメリットがあると言えます。

防爆仕様のデバイスが必要な理由

「以前は、プラント全体を完全に停止させる必要がありました。今日では、隣接する生産ラインが稼働している状態であっても、対象のセクションのみ、部分的にシャットダウンすることが一般的です。私たちが調整作業を行わなければならないエリアも爆発性雰囲気はそのままなのです」とBank氏は説明します。

「これがXT550 Exのアプリケーションなのです。なおも爆発性の環境が存在する可能性がある中、隣接する生産ラインは通常通り稼働し続けます。私たちとお客様の両方が、かなりの時間を節約できるという点では、これは大きな利点です。防爆対応のレーザーシステムでなければ、主要顧客からの使用許可が下りず、私たちは先に進むことができなかったでしょう」

イージーレーザー®XTシャフトアライメントでできること

Bilfinger Maintenance社の従業員は、新しく導入したシステムに関して、トレーニングを受けた後、すぐに使いこなせるようになりました。機能の1つは直観的なユーザーインターフェイスで、2Dから3D表示となり、さらに見やすくなりました。また、測定方法は①9-12-3、②EasyTurn™、③マルチポイント、④連続スィープの4つの異なる方法から選択できます。その他、オプション治具も用意されています。

イージーレーザー 軸芯出し シャフトアライメント

新モデルの イージーレーザー®XTシャフトアライメントシリーズのさらなる利点は、測定結果を非常に簡単に文書化できることです。機械が修理された場合、オペレーターは再稼働する前に、安全・健全性における規制を遵守しているか確認を行う必要があります。これを行うには、証明書が必要です。

ダイヤルゲージを使用したアライメント調整作業は面倒です。ダイヤルゲージをカップリングに正確に取り付けたり、ダイヤルゲージの測定値を読み取って手動で記録したりしなければなりません。その後、オフィスに戻って、測定値を含む文書をPCに入力、署名をし、お客様に提示する必要がありました。

一方、イージーレーザー®XTシャフトアライメントを使用すると、ユーザーは現場で測定を実行した後、その場でPDFまたはExcel形式のグラフを含む測定報告書をシステム内で作成できます。さらに、測定報告書はシステム内に簡単に保存でき、後日の測定時に確認したり利用したりできます。

「イージーレーザー®XTシャフトアライメントを使用すると、測定報告書を確認後、すぐに機械の操作を再開できるので、顧客の多くの時間を節約することにつながります」とBank氏は言います。

エキスパートはなぜレーザーアライメントシステムを採用するのか

Bilfinger Maintenance社のポンプおよび機械の経験豊富な熟練者が、レーザーアライメントシステムで芯出し作業を行う理由は明らかです。

「現代の技術の大きな利点は、値の正確性です。ストレートエッジで測定すると、解釈のズレが出ます。精度を上げるには、レーザー式のシステムが不可欠です」とBank氏は断言します。

ポンプ購入時の取得コストは、ライフサイクルコストのほんの一部にしかすぎず、最大のコストは、運転時のエネルギー、修理、メンテナンスにかかる費用です。要求精度の公差内で正確にアライメント調整を行うと、ベアリングやカップリングなどの摩耗部品の寿命は、正確に芯が出ていない場合よりも大幅に長くなり、最終的にはエンジンなどの駆動機器の性能にも影響します。ポンプが十分にアライメント調整されていない場合、ほとんどのケースで遅かれ早かれベアリングが損傷します。

「すべてのポンプをレーザーアライメント調整することができるので、芯出しが正確に行われていることを文書化することが可能です。現場補修作業の一環として、ますます多くのお客様がこのようなサービスを求めています」とRabe氏は言います。

Bilfinger Maintenance社には、一つの確信があります。この業界では、ますます多くの作業プロセスがデジタル化されてきており、フレキシブルに対応できるデジタル測定機器を使用したアライメント調整ニーズが明らかに高まっています。イージーレーザー社はデジタル測定機器の開発を行っており、軸芯出し調整用として、iOSとAndroidのタブレットとスマートフォンで動作する無料のXT測定プログラムアプリを提供しています。

「XT550 Exは、”オープン”タブレットを搭載した最初のシステムです。必要に応じて、アプリを別のデバイスに簡単にダウンロードして作業を続けることができます」とRabe氏は強調します。


Karl-Heinz Bank氏(左)とJürgen Rabe氏(右)

翻訳・編集/石田有紀

※本サイトは鉄原実業株式会社が運営しております。


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