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意外と身近な周波数について調べてみました

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回転機の診断と切っても切り離せないもの、それが周波数です。軸受の診断ではしばしばFFT(フーリエ変換)が用いられ、卓越した周波数を軸受固有の損傷周波数と比較し、損傷があるか否かを確認する手法がとられます。

このようにいわれると、周波数という言葉が非常に難しく感じられますが、実は身近な現象の多くは周波数がベースになっています。そこで今日は私たちの生活に関わりの深い周波数について調べてみました。

周波数とは?

 

定義

周波数とは、工学、特に電気工学・電波工学や音響工学などにおいて、電気振動(電磁波や振動電流)などの現象が、単位時間(ヘルツの場合は1秒)当たりに繰り返される回数のことである。

引用元:Wikipedia

 

周波数の大小はどのように表しているの?

周波数にも当然「大きい」「小さい」もしくは「高い」「低い」があるはずですね。一般的には下記のように呼ばれているようです。

高周波(こうしゅうは)とは、電波、音波など、波形を構成するスペクトラムのうち比較的周波数の高いものを指す。
低周波(ていしゅうは)とは、波動や振動の周波数(振動数)が低い(小さい)こと。または周波数の小さい音波、電波や交流を指す。

引用元:Wikipedia

高周波・低周波と書くように、周波数というのは『波』が大きく関わります。水の波紋を思い浮かべるとわかりやすいですね。押しては引いて、引いたら押して…という現象の繰り返しです。

他にも、飛行機が近くを飛んだ時に窓ガラスが揺れたり、傘を持つ手に振動が伝わってきたりといったものも同様で、実は周波数は私たちにとって非常に身近な存在です。「繰り返す波」と考えれば、地震とか、携帯電話のバイブレーション機能が思い浮かびます。私たちはこのような現象を振動という言葉で認識しています。

この振動という現象を説明したのが周波数で、単位はHz(ヘルツ)です。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。1ヘルツは、1秒間に1回の周波数・振動数(下図左)を表しているので、50Hz=1秒間に50回振動している(下図右)ということになります。

1Hz 50Hz
1Hz(1秒間に1つの正弦波)
50Hz(1秒間に50の正弦波)

東日本大震災の時には、このHzが取り上げられていました。実は関東と関西では、この周波数が異なります(関東:50Hz、関西:60Hz)。携帯電話の充電器に50/60Hzと記載されているのはそのためです。

物理学では、Hz(周波数)が比較的高いことを高周波、Hzが低いことを低周波としているのです。人間の耳で聞き取れる音は低周波にあたり、一般的には可聴音と呼ばれます。

身近な現象の周波数帯域はどれくらい?

 
楽器を例にとってみましょう。私たちはドラムの音は低い音と認識します。これとは逆に、高い音に分類されるのはフルートやシンバルですね。この二つの現象を周波数を基準に考えると、「ドラムは低周波、それに比べるとフルートやシンバルは高周波」といえます。
では、それぞれのHzはどれくらいなのでしょうか。

バスドラムの周波数は25~80Hz、フルートは250~2kHzくらいのようです。低い音から高い音まで出せるピアノは、30~4kHzとかなり幅があり、非常に高い音が出るシンバルは4~16kHz程度と、他の楽器に比べると、周波数が高いことがわかります。しかし、高い周波数の音は、空気中で大きく減衰してしまうので、あまり遠くまで伝わりません。太鼓の音が遠くまでよく聞こえるのは、減衰しづらい周波数領域だからといえます。

人間の耳に聞こえる音の周波数(可聴域)は、一般的に20Hz~20kHz、歳をとるにつれて高い周波数領域の音は聞き取りづらくなるといわれています。
耳がいいとされる犬は50kHz、猫は65kHz、超音波を発しているといわれるイルカは150kHz程度の周波数を識別できるそうです。

光の周波数

 
よく、「太陽の下で勉強すると、部屋の中で勉強するよりも目が疲れない」といわれます。これは電球も周波数に深い関係があるからに他なりません。
先ほど、関東であれば50Hzを採用していると書きましたが、電球の光は1分の間に50の周波数=50回”チカチカ”しており、私たちの脳はそれを感じ取っているのです。確かに、電球が切れる直前には見える程度に点滅していますね。

光の三原色の周波数についても調べてみました(THz;テラヘルツ=10の12乗Hz)。

  • 赤:405-480 THz
  • 緑:530-600 THz
  • 青:620-665 THz

おわりに

 
このコラムのトップ画像に採用した虫さんたち。彼らの鳴き声はそれこそオーケストラのように私たちを楽しませてくれます。ここで情緒を取っ払い、周波数に置き換えてみると、スズムシは3.9~4.5kHz、コオロギは5~20kHzだそうです。

とっつきにくい現象に思える周波数。でも実は、私たちに最も身近な物理学の一つなのかもしれません。

文/いしだ


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