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再起動後、わずか数時間で再警報!駆動部の不良検知事例

Broken Crosshead Weight

PROGNOST(プログノスト)社が開発・提供している常時状態監視システムでの検知事例をご紹介します。

ケーススタディ概要

 
計測対象機器は3段4筒水平対向型の往復動圧縮機で下記のような仕様で、フレームとクロスヘッドスライドに設置した振動加速度センサのほか、シリンダ圧力も計測していました。PROGNOST®-SILverの機器保護により、自動シャットダウンされたため解放したところ、シリンダ4の圧縮室のボルトに緩みが確認されました。

そこで、シリンダ4の駆動部分すべての部品を交換し、再起動を実施。しかし、今度はシリンダ4の対向にあたるシリンダ3で警報が発報されました。そのため、再度機械を停止し、開放しました。警報が発報されたシリンダ3に焦点を当て、取得したデータを確認していきましょう。

・動力:1838 kW
・回転数:885-1000 rpm
・吸入圧力:10 bar
・吐出圧力:196 bar
・複動

実際の取得データ

 
シリンダ3で何が起こったのか?振動加速度センサや圧力センサが取得したデータを確認してみましょう。下図はモーター駆動側と被駆動側のフレーム振動です。横軸は時間で、2020年10月27日午前10:27から翌28日の午後12:36までのトレンドデータとなります。

sensor position5

このグラフ内において、ピンクバンドが2か所確認できます。これらは予め設定された境界値を超える振動が検出された時間帯を示していますが、フレーム振動においては稼働中、特に大きな変動は見られませんでした。

しかし、同時間帯のクロスヘッドスライドの振動加速度センサが取得したトレンドデータを見てみると、ピンクバンド内に境界値を超えるピークが発生していることが確認できます。

sensor position5

続いてシリンダ3のクロスヘッドスライドにおけるオンライン信号と、36セグメント解析の結果を確認してみましょう。

sensor position5

上のグラフがクロスヘッドスライドにおけるオンライン信号、下が36セグメント解析を示しています。ここで注目したいのが、ピストンが下死点にある時のクランク角度で境界値を超える振動が発生している点です。これを3Dウォーターフォールで示したものが下図になります。

sensor position5

ピンク丸=ピンクバンドが示す境界値を超えた時、3Dウォーターフォールにおいても、セグメント35/36の振幅が大きくなっていることが確認できます。

sensor position5

ちなみに、シリンダ内の圧力には特に変化はありませんでした。

開放結果

 
警報を受け、機械を停止し開放を実施したところ、シリンダ3のピストンロッドカップリングのカウンターウェイトプレート破損が判明しました。

sensor position5

おわりに

 
ご紹介した機械ではPROGNOST®-SILverによるシャットダウンがあり、ボルト緩みが見つかった後、再びシステムが警報を発報、別シリンダの部品損傷の検知に至りました。フレーム振動やシリンダ内圧力には変化がなかったものの、クロスヘッドスライドの振動が境界値を超えたことから、駆動部で不良が発生していると早々に判断ができ、適切なタイミングで機械停止をすることができました。

文/いしだ


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