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クロスヘッド振動×ロッド荷重の切り替わり点の解析によるピストン亀裂検知事例

Early stage of a piston failure

本日のコラムでは、往復動圧縮機のクロスヘッド振動と圧力計測の状態監視によって、ピストンの異常を検知した事例をご紹介します。
 

h2midashi ピストンロッド荷重の切り替わり点とは

往復動圧縮機は、クランクシャフト1回転=360°の回転運動をクロスヘッドを介してピストンロッドの往復運動に変換しています。ピストンロッドは、上死点→下死点→上死点の1サイクル(往復)中、ガス圧力の影響で、動的に変動する圧縮荷重と引張荷重を受けています。この変化する荷重をロッド荷重と呼び、一般的にはこの荷重が設計許容値以下であるように機器メーカーは設計しています。許容値を超過すると、メタル部の負荷が大きくなることがあるためです。

運転中の機器のリアルタイムでのロッド荷重を計算するためには、ガス圧力の変化をリアルタイムで計測する必要があります。イメージ図を見てみましょう。

往復動圧縮機のモニタリング オンライン状態監視システム プログノスト PROGNOST

横軸はクランク角度0-360°、ピストンヘッドが上死点(TDC)→下死点(BDC)→上死点まで1往復した状態を示しています。3本の線のうち、白線は機械パラメータ(慣性荷重)、青線がシリンダ圧力(ガス荷重)、これらをベースに計算した動的ピストンロッド荷重が赤線です。このように、圧力計測を行うことで、リアルタイムのロッド荷重の状況を把握することができます。
 

h2midashi ケーススタディ

それでは、実際に取得したデータを見てみましょう。オンライン状態監視システム「PROGNOST®」でクロスヘッド振動のモニタリングを実施していました。下図は良好時のクランクシャフト1回転中のクロスヘッド振動と圧力変化です。クランク角度によって、クロスヘッド振動のオンライン信号にピークが見られます。

往復動圧縮機のモニタリング オンライン状態監視システム プログノスト PROGNOST

ピストン損傷時には次のようなオンライン信号が確認されました。ロッド荷重の切り替わり点近傍で、ピークが大きくなっていることが分かります。

往復動圧縮機のモニタリング オンライン状態監視システム プログノスト PROGNOST

ロッド荷重が圧縮方向から引張方向に変化する際に、締結する駆動部品同士のわずかな隙間の影響で、瞬間的な振動が発生します。この振動はクリアランスや部品締結の緩みにより大きくなります。

今回の事例では、亀裂の進行(クリアランスが大きくなる)とともに、部品としての剛性がなくなったために、瞬間的な振動が通常よりも大きくなったと想定されました。開放の結果、トップ写真のように、ピストンに亀裂が発生していました。
 

h2midashi おわりに

振動の大きさだけでも異常判定は可能ですが、ロッド荷重の切り替わり点の振動が大きくなっていると分かると、それは部品間結合の緩み、クリアランスの増加、亀裂に起因するものという判定ができます。

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文/石田有紀



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