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6.302020
ロッド変位による自動インターロックで、クロスシューの致命的損傷を回避!

往復動圧縮機の数ある部品の中でも、重要とされる駆動部品にクロスヘッドがありますよね。本日はオンライン状態監視システム「PROGNOST」で、関連部品のクロスシューの摩耗を検知し、緊急停止した事例をご紹介します。
計測対象機器の概要
計測対象はAriel社製、2段6筒複動式の往復動圧縮機で、6150 kWのモーター駆動、回転数は700 rpmでした。吸入圧力:4 MPa (40 bar)、吐出圧力:24 MPa (240 bar)で運転していました。
機器開放までの警報履歴と推奨対応
2017年8月下旬の午前3:45、機器保護ハードウェアであるPROGNOST®-SILverにより、対象圧縮機がシャットダウンされました。シリンダ#1のピストンロッド変位の変化が原因でした。
再起動を行っていた午前5:02、PROGNOST®-SILverにより、再び圧縮機が停止。先ほどと同様、シリンダ#1のロッド変位に起因するシャットダウンでした。
午前9:45、PROGNOST社のカスタマーサポートは、PROGNOST®-NTに保存されているデータを確認し、ピストンロッドの振れが非常に大きくなっていることから、機器の再起動を取りやめることを推奨しました。
データ解析結果
インターロック直前に瞬間的かつ過剰なロッドの振れが確認されました(客先要求によりこちらのオンラインデータは非公開です)。
機器停止までの2か月間の①ピストンロッド変位の3Dウォーターフォール(図上)と、②クロスヘッド(CHS)振動の3Dウォーターフォール(図下)のトレンド上では特に異常は見られませんでした。
開放結果と原因、得られた効果
開放調査の結果、クロスシューのメタル剥離が認められました(トップ写真)。原因は外部油ポンプの作動不良と想定されています。
ロッド変位による自動インターロックなければ、損傷が更に広がった可能性があり、最低限の損傷で機器停止できた、システム利用での早期検知の好事例です。
おわりに
こちらの事例では、1回転中の動的ロッド変位が急激に大きくなった、すなわちロッドが大きく振れたことによって機器停止に至りました。このように、1回転中のロッド変位が大きくなる要因として他に、圧縮室へのドレンや異物の混入などが挙げられます。そちらの事例も解説しておりますので、ご興味ある方はご覧ください。
文/いしだ