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軸受の不良診断をしていたら、●●不良が判明!データを交え、実例をご紹介。

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機械故障の一因として一般によく知られているのがベアリング(軸受)の不良ですよね。当社では主に設備保全に関する情報を発信しているため、適切なタイミングでグリスアップを行い、トラブルを未然に防ぎたいというお客様から関連のお問い合わせを多くいただきます。

モーター駆動の回転機械の状態診断に力を入れていきたいということで、ある企業様からお問い合わせをいただきました。本日はデモ計測で実施に取得したデータを交えながら、そこからわかったことを中心にご紹介していきたいと思います。
 

h2midashi お引き合い概要

小型モーターのベアリング診断がしたいと、Webからお問い合わせをいただきました。その方は当社が配信しているメールマガジンをご覧になっていたとのことで、取扱製品のAEセンサ搭載ベアリング診断器MHCにご興味をお持ちでした。
 

h2midashi MHCを使用したデモ計測でわかったこと

デモ計測のため、①新品と②旧品のモーター~回転機械のセット品をご用意いただけるとのことで、製品担当が訪問し、4点、計測を実施しました。

A) ①新品(モーター単体)
B) ②旧品(モーター単体)
C) ①新品(回転機械~モーター連結)
D) ②旧品(回転機械~モーター連結)

MHCは、AE技術(Acoustic Emission:アコースティック・エミッション)による、高感度AEセンサを採用した「転がり軸受の状態診断用測定器」です。従来は2つのパラメータを確認し、軸受の不良検知を行いますが、今回のケースではA) 新品、B) 旧品どちらのモーターの軸受においても、パラメータを確認する限り、軸受は良好な状態でした。念のため、ハイエンドモデルのMHCメモプロでFFT解析を実施しましたが、特に異常はありませんでした(下図)。

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続いて、回転機械とモーターを連結した状態で、FFTによる詳細解析を実施。すると、C) 新品、D) 旧品どちらにおいても、周波数43Hzと、その整数倍にピークが確認されました。この機械にはギアが組み込まれており、そのギア信号と考えられます。

二つのFFTデータを比べたところ、D) 旧品のみ、周波数24Hzにピークが見られます。これは回転周波数(回転数1440rpm÷60)にあたり、バランス不良が発生している時に検出されることから、今回の計測対象機器②旧品は軸受ではなく、シャフトのバランスに問題があることが判明しました。

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h2midashi 据付・メンテナンス時に高精度な芯出しを行うことで、シャフトのバランス不良をなくすことが重要

駆動側のモーターと、その回転を受けるポンプなどの回転機械側のシャフトは、通常、カップリングが取り付けられており、シャフト間でミスアライメントがあっても、正確なトルク伝達ができるようになっています。しかし、カップリング設計時の許容値を超えるトルクやミスアライメントが発生すると、部品の早期破損につながることがあります。

ミスアライメントには、偏芯(オフセットズレ)や偏角、軸方向変位があります。これらをカップリング許容値に収めるために重要なのが、芯出し作業です。自社の作業員が実施する場合もあれば、専門の業者に委託している場合もあります。

芯出し作業によく利用されているのが、ダイヤルゲージですよね。ダイヤルゲージとは、”直接数値を測るのではなく、ほかの物を基準としその物との差を読んだり、平行だしをするのにつかわれることが多い計測器(引用元:Wikipedia)“です。

平行偏心や偏角による誤差はカップリングハブにダイヤルゲージを取り付けて、基準点を決めた後に、測定対象を1回転させることでその振れを測定します。その後、可動機械側(上図の場合はモーター)の前脚・後脚のボルトを締めるなどの調整を行い、許容値になるまで同様の作業を繰り返します。

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ダイヤルゲージによる調整(平行偏心) ダイヤルゲージによる調整(偏角)

最近では、ダイヤルゲージですばやく芯出しを実施できる作業者が減り、その対策を検討されている企業様も多いです。逆に、外注費用を削減するため、業者に委託していた芯出し作業を自社のスタッフで行おうと、誰でも使えるレーザー式芯出し測定器をご検討される動きもあります。

レーザー式芯出し測定器によるメリットは、難しい操作はなく短期間のトレーニングで正確な精度の芯出しが可能な点です。レーザーを発信する2つのユニットをそれぞれ固定機械側と可動機械側(モーターなどの駆動側)に取り付け、9時方向・12時方向・3時方向の3か所で計測ボタンを押せば、調整値がディスプレイユニットに表示される仕組みになっています。調整を行っている間もリアルタイムで数値が更新されるため、何度も計測を行う必要がありません。当社でもイージーレーザー®というスウェーデンのメーカーが開発・販売している製品を取り扱っています。

イージーレーザー
 

h2midashi おわりに

業界により、保有している機械、設備の種類は変わりますが、モーターはどの企業でも台数が多く、部品の状態診断は課題に挙がっているのではないでしょうか。回転機械はさまざまな部品の集合体ですから、安全な機械運転のためには全体が最適となる保全作業が欠かせないですよね。

今回は故障原因の3割を占めるという軸受に、不良があるか否か確認のための行動が、結果的にシャフトのバランス不良を見つけることにつながりました。「設備診断の重要性はわかっているが、何から始めたらよいかわからない……」という方は、まずは軸受の状態診断から始めてみてはいかがでしょうか。

文/石田有紀

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