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往復動圧縮機のCBM化を実現!オンライン状態監視システムで出来ること

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弊社では無料でダウンロードいただけるeBookを複数ご用意しているのですが、その中でここ1,2か月の間にダウンロード申請数が伸びてきているものがあります。それが「往復動圧縮機 入門」。樹脂製シリンダ弁やリング・パッキン類などを長く取り扱っており、石油精製・化学を中心としたエンドユーザーに納めているのですが、最近は機器メーカーからのお問い合わせのほうが多いように感じます。

機器の突発停止を避けるために、計測器を用い設備診断を実施している企業や組み込む部品の見直しを進める企業は多いですよね。しかし、ポンプやファンと違い、こと往復動圧縮機に関しては、オンラインシステムでの状態監視を行っている企業はまだ多くはないのが現状です。

今回は往復動圧縮機向けの包括的なオンライン状態監視・資産管理システムを紹介します。
 

往復動圧縮機における損傷部位とは?

実にさまざまな部品から成り立っている往復動圧縮機。トラブルを起こしやすい個所としては下記が挙げられます。

○ シリンダ弁(バルブ)
○ ピストンリング・ライダーリング
○ ロッドパッキン
○ オイルワイパー部

いずれもガス漏れや油漏れが発生してしまい、その対策が急務になる可能性が高い個所です。特に、水素や硫化水素ガスといった爆発の恐れや人体に危険がある流体を圧縮している機械の場合、ガス漏れは最も避けたいトラブルの一つ。材質や型式のR&Dが進み、さまざまなアプリケーションが存在するので、ベンダー各社の提案を吟味している企業も多いと思います。

弊社が取り扱っているCOOK COMPRESSION社も、無潤滑機向け材料やエア圧縮機向け材料、異物に強い型式など、さまざまなスペックにあわせたラインナップを取り揃えています。
 

回転機械のCBM化

過去数十年の間にプラント内の動機器のうち、遠心式回転機の設備状態診断技術は確立されてきました。例えば、ポンプや遠心圧縮機といった設備は振動やAE技術を用いた計測器で状態監視を行うことで、部品の損傷レベルについて一定の示唆を得ることができます。

これにより、BM(故障してから保全を実施)やTBM(決められた周期ごとに保全を実施)から、CBM(状態ベースメンテナンス)を実現する企業が増加しました。

しかし、石油精製・化学プラントに数多く設置されている往復動圧縮機(レシプロコンプレッサー)は、“現場での計測結果と実際の部品の損傷状況が合致しない”といった問題があり、なかなかその診断技術が進展しませんでした。
 

往復動圧縮機向けモニタリングシステムの概要

そのような背景がある中、往復動圧縮機の設備診断技術を確立しようとR&Dを進める企業も複数ありました。そのうちの1社がドイツに本社を構える「プログノスト システム社 (英語表記:PROGNOST Systems GmbH)」です。

プログノスト®システムは常設型のオンラインシステムで、主に①信号発信部(センサ)、②信号入力・出力およびインターロック部、③信号解析・通信部、④解析結果出力部で構成されます。このうち、②-④までをプログノスト®-NTと呼び、センサからの信号を演算処理し、トレンド値として出力する他に、異常値が発生した場合には異常信号を外部装置に出力する機能を有しています。

プログノスト®-NTシステム概要
プログノスト®-NT

これまで往復動圧縮機の振動解析によるCBM化の実現が困難であった理由として、部品の損傷劣化による一回転中の振動変化が一部のクランク角度に集中しているにも関わらず、時間領域振動の一定時間の平均レベル(1秒間の振動実効値等)で評価していたことが挙げられます。そのため、早期の損傷特定を実現することができませんでした。

そこでプログノストシステム社は、クロスヘッド部のオンライン振動信号を36のセグメントに分割するセグメントベース解析を採用。ピーク値が発生するクランク角度の変化のトレンド化を可能にしました。

クロスヘッド部のオンライン振動信号 クロスヘッド部の36セグメント解析
クロスヘッド部のオンライン振動信号 クロスヘッド部の36セグメント解析

左図は複動型往復動圧縮機クロスヘッド部に取り付けた加速度計が1回転中に検知する振動ピークを表しています。ピークの発生するクランク角度は機器仕様や運転条件によりますが、毎回転ほぼ同様のクランク角度で概ね2回のピークが発生します。このピークは部品間のクリアランスのがたによって発生するものです。取得した1回転中のオンライン信号を36のセグメントに分割し、実効値を算出したものが右図となります。

一方で、部品間クリアランスが大きくなり、ガタが大きくなると、1回転中の振動ピーク部の振幅が大きくなります。例えばコネクティングロッドに使用されるすべり軸受の内径部の摩耗や焼き付きが発生した場合です。

このピーク部の振動変化を監視することで機器の異常を早期に検知できるのが、オンライン状態監視システム プログノスト®システムの優れた点といえます。
 

プログノスト®システムでは包括的な解析が可能

異常検知部位はクロスヘッド部だけではありません。ロッドドロップセンサを設置すれば、ライダーリング摩耗モニタリングができますし、シリンダ部に振動計を取り付ければ、シリンダ弁の挙動解析も可能です。

プログノスト®-NTシステム概要
プログノスト®-NTシステム概要

 

さいごに

プログノスト®-NTシステムのその他の利点として、リングバッファがあります。これは警報や緊急停止信号が発せられた前後10分間連続のオンライン信号を保管する機能です。これにより警報境界値を超える前7分の振動・変位値の変化を高い解像度で可視化することができ、機器停止前後に各センサからの信号がどのように変化し、それらが部品の損傷になぜ影響したかを検証することができます。

その他にも1回転の36セグメント実効値の振動加速度とクランク角度という2軸に、時間軸を加えてモデル化した3Dウォーターフォールプロットの出力が可能なソフトウェアなど、さまざまな機能を有しています。

今回、PROGNOST®システムをより詳しく解説した「往復動圧縮機 上級」がeBookのラインナップに加わりました。

ご興味がある方はこちらからダウンロードを申請してくださいね。

文/石田有紀

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