ロールアライメントのケーススタディ

イージーレーザー社のブログ記事から、ロール設備のアライメント調整(平行度・水平度の測定)に関する翻訳内容をお届けします。

ケーススタディ(ロールアライメント)

新製品を製造する際には、機械の改造が求められます。そこで、既存の機械を適用できるように、多数のロールを備えたスタンドで構成されています。注文品の製造が終了したら、通常の製品用に再びスタンドを取り外します。

こちらの顧客は機械設置の際、各ロールをより適切にアライメントするための測定システムを希望していたため、ロールの測定に柔軟に対応できるイージーレーザー® E970を採用しました。イージーレーザー社で技術を担当しているJan Oscanderがユーザーへのトレーニングと測定作業を実施しました。その間にJanは何人かの測定アシスタントを育成しました。なぜなら、一人で作業をする場合はレーザー発信器や受光器を設置するために何度も行ったり来たりを繰り返さなければなりませんでしたが、二人以上で作業すれば移動時間を最小限にできるからです。

使用した測定機器は、スタンドに取り付けたレーザー発信器と、90°にレーザー光を偏角できるプリズムを備えたイージーレーザー®E970、およびE290デジタル水準器でした。何点か追加で治具が必要でしたが、それについては後で詳しく説明します。

作業は、基準ロールを測定することから始まります。次に、2つのベースラインマーキングをレーザー発信器から少し離れた床に配置します。スタンドが誤って動かされた場合、レーザー発信器を機械と平行に再調整するためにこのマーキングを使用します。

機械で測定を行っている間に、お客様の技術者がロールを交換したことがありました。当然、昼食後に戻ったときは驚きました。このロールにアクセスするために、(レール上にある)機械の一部を移動したことが判明したからです。これは基準ロールにアクセスできなくなったことを意味しました。そこで、別のロールを基準用として測定しました。そして、この受光器をロール上に残しておくこととしました。これで、受光器の測定値を最初に取得した値といつでも比較できるため、測定中にレーザー発信器が妨害されていないことを確認できます。

測定作業について続きをご説明していきましょう。まず、スタンド構造を既存の機械に合わせた後、スタンドを正確に下げることができるテーパー状マウントを溶接し、天井クレーンでスタンドを持ち上げたり外したりできるようにしました。

次のステップは、スタンドのすべてのロールを調整することでした。メーカーによって大まかな調整が行われていただけの状態でした。実際に調整を始めてから、一部のロールがぶら下がっているアジャスタープレートでは、垂直位置と水平位置を別々に調整できないことが判明しました。ロールのアジャスタープレートが2つのスロットにネジで設置されており、これらのネジを緩めて、水平と垂直の両方を調整します。つまり、水平位置を調整するたびに、垂直位置もわずかに変化してしまうのです。そのため、調整作業に想定よりも時間がかかってしまいました。機械設計の段階から、どのように調整されるかを理解することの重要性について考える教訓になったといえるでしょう。

水準器を使用することで、各調整後に垂直方向の位置確認が驚くほど迅速になりました。 最後の測定を実施している間に、水準器をイージーレーザーのディスプレイユニットに接続し、それまでの測定値をレポート化して保存します。
ロールを測定して調整する方なら誰でも知っているように、機械周囲にはさまざまな設置物があり、アクセスがしづらいケースも多いです。この機械はまさにそのケースで、上部ロールの1つでは、レーザー光が通るように受光器用治具を1メートル伸ばす必要がありました。これは、オプション治具を使うか否かが、1日の成功と失敗の違いを生む可能性がある場合です。

現場には短い毛で覆われたロールがあり、表面は不均一で磁性はありませんでした。オプション治具とは別に、持っておくと役立つものは想像力です。チェーン付きのスライド式の治具をロールに取り付け、水平方向の測定を行いました。垂直方向とレベル出しについては、通常の水準器を工場から持ち込み対応しました。ロールの表面に適合する凹面を備えていると便利です。 デジタル水準器をその上に配置できます。(このロールは正確な調整を必要としない個所だったことは補足しておきます)

結論として、問題を理解して解決するのは測定システム自体の役割ではなく、技術者の仕事ですが、一方で柔軟な測定システムは解決策の提供という観点では欠かせない存在であるといえます。イージーレーザー®が提供するさまざまなアプリケーションへの拡張性と適応性は、多くの技術者に高く評価されています。与えられた許容値内に収まるよう、どの程度作業を正確に行うべきかを理解し、決定しなければならないのも技術者です。忍耐も必要になることも多々あります。この場を借りて、調整の際にスタンドを製造いただいた機械会社のスタッフに感謝します。

翻訳・編集/石田有紀

ロールアライメントに興味がある方におすすめ

  【ブログ記事】ロール設備の平行度・水平度調整、レーザー式で測定できる設備と測定方法
  【ブログ記事】ロールの平行度・水平度の測定結果をグラフィック表示。結果の数値化とレポート作成もイージーに!
  【製品ページ】ロール設備の平行度・水平度測定
  【よくある質問】高さ方向が異なるロールを測定することは可能ですか?

※本サイトは鉄原実業株式会社が運営しております。


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