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食品業界でのベアリング診断検討ケースを一挙ご紹介!~Part 2~

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9月に配信したコラムで食品業界でBM(ブレイクダウン・メンテナンス:事後保全)やTBM(タイムベース・メンテナンス:時間基準保全)からCBM(コンディションベース・メンテナンス:状態監視保全)への転換期を迎えている企業が増えてきたというお話をしました。

その後も複数の食品メーカー様からお問い合わせを頂戴しており、実機でのデモンストレーションを行いました。

今回は皆さんがどのような設備のメンテナンスでお困りなのか、その課題に対してどのようにアプローチされているのかについてお伝えしていこうと思います。
 

各社の検討・導入事例

<食品メーカーに在籍するAさんのケース>

Aさんの在籍する工場では、ベアリング(転がり軸受)の傾向管理を実施するため簡易型の振動計を購入、使用していましたが、五感でわかるレベルの不良状態であっても検出しづらく、あまり活用されていませんでした

展示会で使用感がよさそうで、管理もできるタイプの計測器を探していたところ、AEセンサ搭載ベアリング診断器MHCを知り、お引き合いに至りました。

現場で実際に使用されている真空冷凍乾燥機駆動用モーターの①5年稼働した機器と、②半年前に軸受を交換した機器の軸受の計測デモンストレーションを実施しました。

<概要>
対象機器:真空冷凍乾燥機駆動用モーター
回転数:3575rpm(①・②ともに同じ条件)
計測に使用した器種:MHCメモプロ

<計測結果>
①5年稼働した機器の軸受
ディストレス®:13  dB:43
②半年前に軸受を交換した機器の軸受
ディストレス®:03  dB:40

ここで注目するべきはdB(デシベル)がどちらも同じ程度にも関わらず、②の比較的新しい軸受に比べて①5年稼働の機器ではディストレス®が大きい点です。メーカーが提示している診断表ではディストレス®:10を超えると初期不良の可能性ありとされていますので、付属のヘッドフォンで聴音も行いました。その結果、摩擦・傷特有の音が判別できました。

ちなみに、dBは高周波AE信号の平均レベルを表しており、軸・軸受の負荷、軸径、回転速度に依拠します。過去の計測条件(回転速度)と同じ場合、もしくは完全な同一条件の機械との比較に有効です。

また、当初の目的であるベアリングの傾向管理にも、dBは活用できます。dBの継時的トレンドを取ることで、劣化傾向の把握を可能にします。

汎用機械の稼働寿命とディストレス® ・dBそれぞれの関係性をプロットした場合、下記のような相関があります。
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<お菓子メーカーに在籍するCさんのケース>

Webからお問い合わせをいただいたCさんの工場では、先日、フライヤー用油の搬送用ポンプのベアリング不良が原因でラインが緊急停止してしまい、生産ロスが起こってしまったそうです。そのポンプの軸受は交換し、通常通りラインは稼働したものの、Aさんのケースと同様、定期的にベアリングの状態監視をしたいというご要望があり、製品プレゼン、現場でのデモ計測のために担当が伺いました。

<概要>
対象機器:モーター
回転数:1800rpm程度
計測に使用した器種:MHCメモプロ

<計測結果>
①モーター負荷側
ディストレス®:03  dB:40
②モーター反負荷側
ディストレス®:16  dB:20
③ポンプ右側(軸受交換後)
ディストレス®:05  dB:36

①モーター負荷側と、ベアリングを交換した③ポンプ右側はディストレス®が低く、聴音でも異常はありませんでした。しかし、②モーター反負荷側で高いディストレス®が確認され、ヘッドフォンでの聴音でも、異音が出ていました。

今は問題なく稼働していますが、②モーター反負荷側の軸受は、今後しっかりと傾向管理をする必要がありそうですね。
 

<お菓子メーカーに在籍するKさんのケース(Part 1の続きです。前回記事はこちら)>

展示会に来場する前から、振動計の導入を考えていたKさん。ただ、計測の対象がコンベア用ローラーベアリングで、回転数は80rpm程度と、一般的に振動加速度計での不良検知は難しい設備でした。MHCは0.25rpmの超低速にも対応している点のほか、MHCの初心者でも軸受の計測・診断が可能という点に魅力を感じたとのことでした。

実際の設備を計測したところ、初期傷が疑われ、MHCに付属のヘッドフォンでの聴音でも傷の音が確認されました。

ただ、検討を進めるうえで、食品業界ならではの問題点が出てきました。それがMHCのセンサ設置時(計測時)に欠かせないグリースの存在です。他の企業様でもグリースの使用を避けたいというケースがあり、その場合はマウントボスの設置を推奨しています。

マウントボスは直径4cm程度の薄い円盤型金属です。計測個所に接着剤で貼付することで、グリースを塗布せず、計測が可能になります。

そもそもグリースは、マグネットセンサと計測個所(ケーシング)の隙間を埋め、計測時感度をあげるために塗布します。マウントボスを使用した場合は、センサとマウントボス間の隙間がなくなりますので、グリースを塗布しなくとも、感度が良い状態で計測できるというわけです。その他の用途として、磁性がなくマグネット式センサの取り付けができないケースでの適用事例があります。
 

さいごに

MHCは、2000年に取り扱いを開始、00年代は機械の緊急停止による生産ロスを回避するため、化学プラントや製紙工場の保全部門で採用されるケースが多い製品でした。ここ数年で、機械・部品メーカーや上下水道、電力といったインフラを支える企業での導入事例も増えてきています。

クラウドサービスが本格的に普及したことで、トレンドにも変化が出てきました。MHCや振動計などのポータブル計測器による計測、CBM化を先駆けて行ってきた先述の企業は、次なるトレンド「IoT」に注目しているようです。

先日、東京ビッグサイトで開催されたINCHEM TOKYO 2017に行ってきましたが、オンラインシステムを紹介しているブースには人が集まっており、興味関心をひいているようでした。

IoTが一巡したら、次はどんなトレンドが待っているのか、今から楽しみですね。

文/石田有紀







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